B-2スピリット爆撃機

B-2 Spirit multi-role stealth heavy bomber

B-2ステルス爆撃機

ノースロップ・グラマン社が開発したB−2スピリットは、通常兵器と核兵器の両方が運用可能な 多用途ステルス爆撃機であり、現在アメリカ空軍によってのみ運用がなされている。

B−2最大の特徴であるその低視認性 ‐ステルス性‐ はこの機体に、最も強固に防御された敵の防空網を突破する 能力を与えており、21世紀の現在においても強力な核抑止力たらしめている。

外見的には垂直尾翼と水平尾翼がない全翼機スタイルが目を引くが、これも余計なレーダー反射物をなくすために 採用されたもので、ステルス性を高めることに貢献している。B−2のRCS(Rader Cross Section;レーダー反射面積)は 僅か0.0001uと小型の虫程の大きさに過ぎない。

B−2はそれまでのB−52「ストラト・フォートレス」やB−1B「ランサー」といった爆撃機と同様大きな航続距離を持っている。
無給油でも 約1万Kmの航続距離を持つB−2だが、空中給油機を利用することで理論上航続距離は無限になり、 地球上のあらゆる場所を爆撃可能となる。

事実B−2初の実戦参加となった1999年のコソボ紛争では、 ミズーリ州のホワイトマン空軍基地から離陸し空中給油を 行いつつコソボ空爆を敢行している。 このときの平均作戦時間は30時間にも及んだ。

B−2は当初133機が製造される計画だったが、1機あたりのコストが2,500億円と高額になったため、総生産数は21に 留まっている。
また機体表面に用いられたステルス性をもたらす塗料の機能を維持させるために湿度と温度を完全にコントロール させたB−2専用のハンガーが必要で、維持費も莫大なものになっている。

コソボ紛争においてB−2がアメリカ国内の基地から作戦行動を行った理由のひとつがこれだ。専用ハンガーのない基地からは 運用できないのである。
ただしその後B−2用の簡易ハンガーが開発され、それが設置された基地からの運用も可能になった。

2003年のイラク戦争における「イラクの自由作戦」では インド洋のディエゴガルシア島から爆撃を行っている。また近年は 東アジア地域への軍事プレゼンスを示すため グアム島のアンダーセン基地にも配備されている。

墜落事故

B−2はコソボ紛争を始めアフガニスタンでの「不朽の自由作戦」、イラクでの「イラクの自由作戦」に 参加してきたが、これまで戦闘での損失は1機もなかった。
しかし2008年2月23日、グアム島アンダーセン空軍基地を離陸中だった 1機のB−2が何らかの理由で墜落し、B−2初の損失となった。

墜落したのは第509爆撃航空団第393爆撃飛行隊に 所属する機体番号89−0127「スピリット・オブ・カンザス」で、それまでに5,176飛行時間を記録していた。

乗員2名は墜落前に脱出し無事だったが、その他の詳細は アメリカ空軍によって一切明らかにされていない。

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個人的なB−2に関する思い出。
確か中学生だった頃、 友人宅で手にした大戦略4のガイドブックの表紙がこのB−2爆撃機でした。
大きくバンクしたゲイラカイトのようなB−2の写真が強烈で、今でも印象に残っています。

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Specifications
用途 爆撃機
エンジン ゼネラル・エレクトリックF118-GE-100ターボファンエンジン(推力77kN)×4基
全長 21 m
全幅 52.4 m
全高 5.2 m
翼面積 460 u
重量 71.7 t(乾燥重量) / 171 t(最大離陸重量)
最大速度 760 km
航続距離 10,400 km
実用上昇限度 15,000 m
武装 核爆弾をはじめ各種誘導爆弾、通常爆弾等をを二つの爆弾倉に最大18t搭載可能。
乗員 2名
生産数 21機
コスト 約2,400億円
初飛行 1989年7月17日

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