そうりゅう型潜水艦(16SS)
Soryu class submarine
そうりゅう型潜水艦は海上自衛隊が建造を進めている新型潜水艦である。1番艦が平成16年度の予算で建造される潜水艦(SS)のため、 16SSとも呼ばれる。また排水量の計画値から2,900トン型潜水艦と呼ばれることもある。
そうりゅう型潜水艦にはそれまでの海上自衛隊潜水艦にはない様々な新機軸が盛り込まれているが、特筆すべきは海上自衛隊の
潜水艦として初めて非大気依存推進機関(AIP;Air−Independent Propulsion)
のスターリングエンジンを採用したことである。
外燃機関であるスターリングエンジンは燃焼時に大気を必要としない。このため潜航したままでもバッテリーの
充電が可能になり、これまでの潜水艦のように海面近くまで浮上、ディーゼル機関を運転し発電する必要がなくなる。
つまりバッテリー充電のために頻繁に浮上する必要が減るため、敵に探知される危険も大きく減少することに繋がる。
海上自衛隊は2003年から練習潜水艦あさしおにて、スウェーデンの コックムス社製スターリング機関4V−275R MkUを用い 試験を続けてきたが、そうりゅう型潜水艦にはこの機関の改良型である4V−275R MkVを川崎重工でライセンス生産し、 4基が搭載されている。
そうりゅう型潜水艦に採用されたもうひとつの特徴的技術は「X舵」と呼ばれる艦尾に装備された4枚の舵だ。
この舵を後ろから見ると、通常の潜水艦には十字型に配置されているが、そうりゅう型潜水艦には「X」型
に配置されている。この配置にすることにより4枚の舵のうち1〜2枚が故障した場合でも残る2枚である程度の操艦が可能に
なる。また従来のものより旋回半径が小さくなる他、旋回時の艦の動揺を抑えることもできる。
さらに艦橋部の2枚の潜舵を加えた計6枚の舵をコンピューター制御することにより、これまでにない微妙な動きが可能に
なり、水中運動性能が向上すると見られている。
この新機軸が多数採用された新型潜水艦は、1番艦が2007年12月5日に三菱重工業神戸造船所で進水、
「そうりゅう」と命名された。
「そうりゅう」とは日本海軍の航空母艦「蒼龍」に因んでいるが、海上自衛隊が旧海軍の空母の名称を採用することは
初めてであり、名実ともに海上自衛隊新世代の潜水艦となった感が強い。
1番艦「そうりゅう」は2009年3月30に海上自衛隊へと引き渡され、呉の第1潜水隊群に配備された。
また2番艦が2008年10月15日に川崎造船神戸工場で進水し「うんりゅう」と名付けられた。「うんりゅう」も旧
海軍の空母「雲龍」に因んでおり、「そうりゅう」に続いて空母名を継ぐことになった。
「うんりゅう」は2010年3月の竣工を目指し艤装が施される。
さらに3番艦も2009年10月16日に三菱重工業神戸造船所で進水を果たし、「はくりゅう」と命名された。「はくりゅう」 の海自への引渡しは2011年3月に予定されている。
関連ページ
- 航空母艦「蒼龍」
- そうりゅうの先代である日本海軍の航空母艦「蒼龍」のページです。
Specifications | |
排水量 | 2,900t(基準) 4,200t(水中排水量) |
全長 | 84m |
全幅 | 9.1m |
最高速度 | 20kt(水中) / 13kt(水上) |
機関 | ディーゼル機関×2 スターリング機関×4 主電動機×1 |
出力 | 3,900馬力(水中)/ 8,000馬力(水上) |
武装 | 533mm魚雷発射管×6、魚雷、ハープーン対艦ミサイル |
乗員 | 65名 |
同型艦 |
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コスト | 約604億円 |