テポドン2号

Taepodong-2(TD-2) ballistic missile

テポドン2号
(c)Digital Globe

テポドン2号とは北朝鮮の弾道ミサイルに付けられたコードネームであり、テポドン1号の後継ミサイルである。 2段もしくは3段式の多段式ロケットで、射程距離は4,300〜6,000km程度と推測されている。 それぞれのロケットの燃焼時間は約100秒で、3段式の場合5分間ミサイルを加速させることができる。

テポドン2号について得られる情報は限定的だが、 将来的には射程10,000km程度の改良型が登場し、アメリカ本土の一部が ミサイルの射程圏内に収まると危惧されている。

テポドン2号を最大射程で発射した時のペイロードは500kg以下と推定されているが、これが北朝鮮の核弾頭を 搭載するのに十分な数値かどうかは現時点で明らかになっていない。
テポドンをはじめ北朝鮮の核開発進捗状況は基本的にその大部分が依然としてベールに包まれている。

構造

多段式ロケットであるテポドン2号の1段目には液体燃料(TM−185燃料とAK−27I酸化剤)が使用されており、 2段目にはノドン短距離ミサイルが利用されていると見られている。

射程距離にもよるが、比較的近距離ならばテポドン2号の推定ペイロードは700kg〜1,000kgとなり、通常弾頭や NBC兵器、もしくは人工衛星を搭載することができる。最大射程で発射するならば、前述の通りペイロードは500kg以下 となる。

しかし北朝鮮が核弾頭の小型化に成功したとしても、まだ越えるべき技術的ハードルが存在する。

弾道ミサイルの弾頭は再突入体(Re−entry Viecle=RV)と呼ばれ、大気圏突入時には断熱圧縮による 高温にさらされることになる。
北朝鮮は実用に耐えうる再突入体の製造能力を有すると実証できておらず、長距離弾道ミサイルの実用化には 今なおハードルがあると見なす意見もある。

しかし一方で技術上の問題は第三国からの技術移転で解消可能とする見方もあるが、いずれの意見も 憶測の域を出るものではない。

発射実験

2006年7月5日

2006年7月5日、テポドン2号の発射実験が ムスダンリ・ミサイル施設 (東海衛星発射場)から実施された。 このときの標的はハワイ周辺だったようだが、 ミサイル発射直後に何らかのトラブルがあり、発射35〜40秒後にミサイルは日本海に落下した。

この日の実験ではテポドンの他にスカッド・ミサイルやノドン・ミサイルも北朝鮮のキテリョンから発射され、いずれも日本海に着弾した。

2009年4月5日

また2009年2月にテポドン2号の発射準備が進めていることが偵察衛星の画像から明らかになった。
北朝鮮はこれを、「光明星2号」人工衛星を「銀河2号」ロケットにて打ち上げる、としており、3月12日には 国際海事機関(IMO)と国際民間航空機関(ICAO)に「衛星発射計画」を通告していたことが明らかになった。

それによると発射実験は4月4日から8日の間に行われ、日本海と太平洋に燃焼済みのブースターが落下する危険区域を 設けたという。

ミサイルの飛翔コースが日本列島を青森・秋田付近で横断するため、実験に何らかのトラブルがあった場合はミサイルの一部が日本に 落下する可能性もある。 そのため3月27日浜田防衛相自衛隊法 第八十二条の二 3項に基づき「破壊措置命令」を下した。

これを受けて、スタンダードミサイルSM−3を搭載し弾道ミサイル迎撃能力を持つこんごう型護衛艦の「こんごう」と「ちょうかい」が 日本海に、また陸上自衛隊のペトリオットミサイルPAC−3が首都圏と秋田方面にそれぞれ展開し迎撃を行う。

ただしこれらの迎撃ミサイルが発射されるのは日本本土に危害が及ぶ場合に限定されており、なおかつ テポドンも日本の遥か上空を通過するとみられているため、 実際に迎撃を行う確率はかなり低いと思われる。

北朝鮮は4月4日の発射は何らかの理由で見送ったものの翌5日午前11時30分頃、 予告通りミサイルの発射を実施した。
弾頭に搭載されていたものが人工衛星なのか何なのかは定かではないが、今回のミサイル実験 にせよ核開発にせよ、北朝鮮の場合国際的な 発言力を高め、アメリカや日本から政治的譲歩を引き出すための外交カードとしての意味合いが強い。
そして今回の実験では北朝鮮が核兵器の具体的な運搬手段獲得に大きく近づいたと見られ、極東地域の パワーバランスに変化をもたらす可能性を秘めている。

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舞水端里(ムスダンリ)や東倉里(トンチャンリ)のテポドン2号発射基地をGoogleマップで見ることができます。
Specifications(推定値)
重量 79,189 kg
全長 35.8 m
直径 2.0~2.2 m
弾頭
  • 通常弾頭
  • 核弾頭(開発中)
  • 人工衛星
燃料 液体燃料
射程距離 4,000 km~10,000 km
誘導方式 慣性誘導

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