独島級揚陸艦

Dokdo class amphibious assault ship

独島級揚陸艦はＬＰＸプロジェクトにて韓進重工業が建造した韓国海軍の揚陸艦である。
建造にあたってこの新型揚陸艦に韓国海軍が求めたのは、上陸戦能力および「戦争以外の軍事作戦（ＭＯＯＴＷ=Ｍｉｌｉｔａｒｙ　ｏｐｅｒａｔｉｏｎｓ　ｏｔｈｅｒ　ｔｈａｎ　ｗａｒ）」の両方の強化を韓国軍にもたらす事だった。

１番艦ＬＰＨ６１１１は２００５年７月１２日に釜山の韓進重工業シップヤードにて進水し、「独島（ドクト）」と名づけられた。
この名称は日本固有の領土でありながら韓国が不法占拠を続けている島根県竹島の韓国名であるため、いわゆる竹島問題に波紋を広げている。
独島は２００７年７月３日に韓国海軍へ引き渡され就役を開始した。

ブルーウォーターネイビー（大洋海軍）への第一歩

２００１年３月、当時の韓国大統領金大中は自身の演説の中で、「五大洋において国益を守り世界平和を守る役割を果たす」海軍の創設を目指す、と述べた。

具体的には２０２０年までにＬＰＸ（独島艦）１隻、ＫＤＸ－Ⅲ（世宗大王級イージス駆逐艦）２隻、ＫＤＸ－Ⅱ（李舜臣級駆逐艦）４隻、ＫＤＸ－Ⅰ（広開土大王級駆逐艦）１隻、ＦＦＸフリゲート艦数隻、ＳＳＸ潜水艦２～３隻から成る機動艦隊を２、ないし３配備するという野心的なものだ。
その機動艦隊の旗艦になるのが独島級揚陸艦であり、韓国では独島艦をブルーウォーターネイビーへの第一歩と位置づけている。

このような規模の艦隊は対北朝鮮としてはあまりに過大であるため、日本の海上自衛隊を仮想敵としているのではと見る向きもある。

しかし近年の経済状況からして実際に韓国が２０２０年までに艦隊を創設できるかは定かでない。

搭載能力

独島級揚陸艦は全長１９９メートル、全幅３１メートル、排水量は満載で１８，０００トンになる韓国海軍最大の艦艇であり、海上自衛隊が保有する満載排水量１４，０００トンのおおすみ型輸送艦より一回り大きい。

独島級は完全武装の海兵隊員約７００人をはじめ、戦車・水陸両用戦闘車をそれぞれ約１０両、ヘリコプターを１０機程度搭載することが可能だ。

またおおすみ型輸送艦やアメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦などと同様、船体後部にウェルドックを備えており、エアクッションビークル型の高速揚陸艇（ＬＣＡＣ）を２隻搭載することができる。

ただし現在韓国海軍が保有する高速揚陸艇ＬＳＦ－Ⅰは２２トンしか積載能力がないため、戦車を搭載することができない。このためより積載能力の大きいＬＳＦ－Ⅱの開発が進められている。

電子装備

独島級揚陸艦は艦隊旗艦としての性格を持つためか、揚陸艦としては強力なレーダーを備えている。
そのひとつがオランダのシグナール社（現タレス）製ＳＭＡＲＴ－Ｌ３次元長距離対空レーダーだ。
ＳＭＡＲＴ－Ｌ（Ｓｉｇｎａａｌ　Ｍｕｌｔｉｂｅａｍ　Ａｃｑｕｉｓｉｔｉｏｎ　Ｒａｄａｒｆｏｒ　Ｔｒａｃｋｉｎｇ，　Ｌ　ｂａｎｄ）レーダーは１６のアンテナ素子から同時に複数のビームを発生させ走査を行うマルチビーム方式のレーダーである。
垂直方向にはビームを電子的に俯仰させ走査し、水平方向にはレーダー自体を機械的に旋回（１２回転／分）させて走査する。

空中目標なら１０００、水上目標なら１００を自動探知・追尾が可能で、哨戒機のような大型機なら４００ｋｍで、戦闘機サイズの機体なら２２０ｋｍで、ＲＣＳの小さいステルスミサイルなら６５ｋｍで探知することができる。

独島艦がこのように強力な対空レーダーを装備しているのは、韓国海軍がこの艦を単なる揚陸艦としてのみだけでなく、艦隊旗艦や災害救助等にも使用を想定しているためで、揚陸艦というより一種の多目的艦と見ることもできる。

近接防御兵装

独島級揚陸艦は近接防御火器として、西側諸国でスタンダードのファランクス２０ｍｍＣＩＷＳではなく、オランダのゴールキーパー３０ｍｍＣＩＷＳを２基装備している。

ゴールキーパーはアメリカ空軍のＡ－１０Ａサンダーボルト攻撃機が搭載するＧＡＵ－８　７銃身３０ｍｍガトリング砲とオランダのＦＣＳを組み合わせた近接防御システムである。搭載位置は飛行甲板先端部と、アイランド後部の２箇所である。

２基のゴールキーパーに加え、独島級はＲＩＭ－１１６ＲＡＭ（Ｒｏｌｌｉｎｇ　Ａｉｒｆｒａｍｅ　Ｍｉｓｓｉｌｅ）２１連装短距離迎撃ミサイルもアイランド前部に１基装備している。

ＲＡＭは赤外線誘導方式の個艦防空用の対空ミサイルで、撃ちっ放しが可能なため同時に複数の目標に対処することができる。

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Specifications
排水量		14,000 t（基準）/ 18,000 t （満載）
全長		199 m
全幅		31 m
喫水		7 m
最高速度		23 kt
機関		斗山-SEMT Pielstick 16PC2.5 ディーゼル4基
武装		RIM-116RAM×1 ゴールキーパー30mmCIWS×2
搭載機		ヘリ10機
揚陸艇		LSF-Ⅱ 2隻
戦闘車両		戦車6両水陸両用車7両
兵員		海兵隊700人
乗員		300名
同型艦		計3隻が建造予定