F−35 ライトニングU 戦闘機

F-35 LightningU - The Joint Strike Fighter(JSF)

F-35A戦闘機

JSF(Joint Strike Fighter;統合攻撃戦闘機)はアメリカ空軍、アメリカ海軍、アメリカ海兵隊 の3軍に加え、イギリス空軍、イギリス海軍、そしてその他協力各国の主力戦闘/攻撃機を基本的に同じ機体で統一する 国際的な巨大開発計画である。
アメリカ3軍、イギリス2軍、その同盟国にて使用されている様々な戦闘機、攻撃機を代替するであろう 超音速ステルス機・F−35 Joint Strike Fighterは 史上最も巨大な航空機調達計画になるとみられ、数千機が製造される見込みである。

このJSFプログラムの特質は、米空軍向けのCTOL型、米海軍向けのCV型、米海兵隊および イギリス空海軍向けのSTOVL型という3つの機体バリエーション間の高度な共通性によって達成される 調達性(affordability)の高さ、つまりは安上がりということである。

F−4ファントムやハリアーのように、陸上機と艦上機を兼用した機体はいくつかあるが、 CTOL機とSTOVL機を同じ基本設計から生み出して成功した例はこれまでにない。
それをあえて試みるのは、 発注をまとめて生産機数を増やしできるだけ生産コストを引き下げるためである。

CTOL型、STOVL型、そしてCV型をそれぞれ単独で開発するよりは共通設計の方が 複雑で開発コストは掛かるが、3つの開発計画を合わせたものよりも低くなるということだ。

また補給や訓練の共通化などで整備や運用面でのコストも低下させられ、それらを総合すれば 数十%のライフサイクルコストの圧縮も期待できるという。

F−35A(CTOL)

F-35A CTOL(Convensional Take Off and Landing:通常離着陸)機であるF−35Aは アメリカ空軍をはじめその他の空軍での運用が予定されている。
F−35Aは3タイプの中で最も小型軽量で、唯一 機関砲の機体内装備が要求されたタイプでもある。
F−35AはGAU−22/A 25mmガトリング砲を搭載しているが、 この機関砲は海兵隊のAV−8BハリアーU攻撃機が装備するGAU−12「イコライザー」機関砲を4砲身にしたものである(GAU−12は5砲身)。

F−35Aは機動性や高G旋回維持能力においてF−16ファイティングファルコン戦闘機に匹敵し、ステルス性、ペイロード、航続距離、 内部燃料搭載量、アヴィオニクス等の点ではF−16を上回る。
アメリカ空軍では2013年からF−16を、2028年からは A−10AサンダーボルトU攻撃機をF−35Aによってリプレースを 開始する予定だったが、スケジュールは遅延しており、開発費の高騰が懸念されている。

また航空自衛隊も、F−X(次期戦闘機)としてF−4EJ改の後継機にこのA型の導入を決定した。

F−35B(STOVL)

F-35B F−35BはSTOVL(Short Take Off and Vertical Landing:短距離離陸・垂直着陸)タイプの 機体で、アメリカ海兵隊での使用が予定されている。

F−35Bの離着陸は、エンジン後部のジェット排気を90°下方へ偏向させるベクタード・スラスト・ノズルに加え、 コックピット直後に設置されエンジンから伸びるシャフトで駆動される革新的なリフト・ファンによって行われる。

リフトファンが直結したF-135エンジン 垂直着陸を行う際の推力配分は、ベクタード・スラスト・ノズルからの排気が78.3kN、リフト・ファンの回転による推力が82.8kN、 そしてリフト・ファン推力の一部をバイパスし主翼左右付け根のロールポストと呼ばれるノズルからの噴射が16.5kNとなっており、合計約177kN の推力をもって垂直着陸およびホバリングを実施する。

F−35Bは空軍向けのF−35Aと異なり機内に機関砲を搭載していないが、作戦に応じて25mm機関砲を 外部に搭載することができる。
この機関砲はAV−8BハリアーU攻撃機と同様に胴体下のハードポイントにガンポッドとして搭載されるが、 このガンポッドもステルス性を意識したものになっている。

アメリカ海兵隊ではAV−8BハリアーUおよび F/A−18ホーネットをそれぞれF−35Bに更新する予定でる。

なお、イギリス空軍、イギリス海軍も当初ハリアーGR7/GR9の後継としてF−35Bの導入を予定していたが、 連立政権の方針により、2010年10月にF−35BからF−35Cに変更すると発表した。

F−35C(CV)

X-35C F−35Cはアメリカ海軍とイギリス空軍・海軍での運用が予定されているCV型(Carrier Variant;空母艦載型)である。

空母に着艦する際の安定性を高めるため、主翼、垂直/水平尾翼は他の2タイプに比べ大型化されており、カタパルト による発艦やアレスティングフックによる着艦の衝撃に耐えられるよう降着装置や機体構造が強化されている。

また狭い空母甲板上での取り回しを容易にするため、数多の艦載機と同様主翼に折りたたみ機構が備えられている。

翼面積が増大したことにより着陸速度を抑えることが出来、航続距離とペイロードの増大をもたらし、内部燃料搭載量は F/A−18Cホーネットの2倍に達し、より重量の大きいF/A−18Eスーパーホーネットに匹敵する。

アメリカ海軍はF/A−18A、−B、−C、−Dホーネット戦闘機を代替するため、480機のF−35Cを購入する予定 だ。
イギリス空軍・海軍も当初F−35Bを導入する予定でいたが、2010年10月に F−35Cに変更した。イギリス海軍では現在建造中のクイーン・エリザベス級航空母艦での運用が想定されている。

関連動画

F-35A (AA-1) Lightning II First Flight
量産型F−35Aの初飛行の模様です。
Lockheed Martin F-35B STOVL JSF first flight
こちらは量産型F−35Bの初飛行です。
Lockheed Martin F-35C First Flight JSF Navy Carrier Variant
同じく量産型F−35Cの初飛行です。
F-35B Day One Trials aboard USS WASP
STOVLタイプであるB型が強襲揚陸艦「ワスプ」上にて垂直着艦や短距離発艦を行う模様が見られます。

関連項目

F−22ラプター戦闘機
F−35と同じくステルス性を備え、第5世代戦闘機に分類されるF−22戦闘機のページです。
Specifications
F-35A F-35B F-35C
タイプ CTOL STOVL CV
エンジン P&W F135またはGE F136×1(推力18,140kg)
全長 15.7 m 15.64 m 15.7 m
全幅 10.67 m 10.67 m 13.11 m
全高 4.328 m 4.298 m 4.542 m
翼面積 42.74 u 42.74 u 62.06 u
重量 空虚 13,290 kg 14,510 kg 15,790 kg
最大 31,750 kg 27,220 kg 31,750 kg
機内燃料 8,165+ kg 6,350 kg 8,618+ kg
最大速度 マッハ1.5~1.8+
航続距離
(機内燃料のみ)
2,222 km 1,667 km 2,593 km
戦闘行動半径 1,130 km 926 km 1,185 km
固定武装 25-mm GAU-12 なし なし
乗員 1名
コスト 約2億ドル
(先行量産機、2008会計年度)
N/A N/A


実証機 2000年10月24日 2001年6月23日 2000年12月16日
量産機 2006年2月15日 2008年6月11日 2010年6月7日

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