10式戦車(TK−X)
Type10 main battle tank(TK-X)
10式戦車(ひとまるしきせんしゃ)はTK−Xの名称で防衛省技術研究本部にて開発が進められ、 2010年(平成22年)度に装備化された 陸上自衛隊の新戦車である。
現在陸上自衛隊が装備する90式戦車
は世界最高水準のレベルを達成した優秀な第3世代戦車だが、配備数で言えば未だ旧式の74式戦車が主力なのが
現状である。
さらに90式戦車も開発から既に10年以上が過ぎ、アメリカの
M1A2やフランスのルクレール
等IT革命の恩恵を受けた諸外国の主力戦車に比べ、とりわけC4Iの面において陳腐化が進行しつつある。
これらの状況を鑑みると、高度なC4Iシステムを搭載した戦車が国際的な技術的進歩の趨勢に対応していくうえで必須とされるが、 同システムを搭載するにしても74式戦車及び90式戦車では内部容積の都合上限定的なものにならざるを得ないため適当ではない。
そこで順次退役していく74式戦車を代替し、国際的にも第一線級のレベルを維持しようというのが10式戦車開発の目的である。
C4Iシステムの搭載
90式戦車との最も大きな違いで、且つ10式戦車の目玉とも言えるのがC4Iシステムの装備である。
C4IとはCommand,Control,Communications,Computers,and Intelligence
(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報)の頭文字から成る言葉で、指揮官が作戦を指揮統制するための情報伝達・処理のシステムを意味する。
具体的に10式戦車に搭載が予定されているのは、GPSによる自己位置評定機能と、僚車間等とのデータリンク機能である。
このデータリンク機能には僚車間はもとより戦闘団本部から歩兵に至るまで自軍のあらゆるユニットと情報を共有する 基幹連隊指揮統制システム(ReCS)にも対応しており、従来の無線による情報伝達に比べ情報共有の的確さ、迅速さが飛躍的に 向上すると見られている。
戦略機動性
戦略機動性とは、敵に対し戦略的に有利な態勢を占めるため、全国的規模又は方面隊の作戦区域内で行う部隊の移動の容易性の事を意味する。
90式戦車は諸外国の同じ第3世代主力戦車にくらべ約10トン軽量な戦車だが、それでも50トンという重量はトレーラーによる同戦車の輸送を著しく制限
するものであり、実質的に北海道以外での運用は放棄せざるを得ない状況であった。
というのも、もともと90式戦車自体がソ連の北海道侵攻を想定したものだったため北海道に集中配備されており、本州以南での
運用を考慮した装備ではなかったのだ。
これに対し10式戦車では重量が90式よりも軽量の約40トンクラスの戦車になると見られており、本州・四国・九州など全国的な配備・運用が可能になる模様だ。
また10式戦車には油気圧式懸架装置が搭載されており、90式同様能動的に姿勢を制御することができる。 ただし90式が前後のみに車体を傾斜できるのに対し、10式戦車では74式戦車のように前後左右に傾斜させることが可能だ。 このことからも10式戦車が北海道のみならずより複雑な地形である本州での運用を想定していることがうかがい知ることができる。
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■関連動画
- Japan New 44ton MBT Type 10 Prototype (TK-X) Test (English)
- 海外で報道された10式戦車(TK−X)のニュースです。
日本では未だ報道されていない 戦車内部の画像や、射撃 の様子、不正地での走行の模様等もがが映っています。
またアクティブサスペンションの 恩恵か、90式戦車より軽量にもかかわらず射撃時の動揺が小さいのが見て取れます。
Comparison with other tanks | |||
名称 | 10式戦車 | 90式戦車 | 74式戦車 |
全備重量 | 約44トン | 約50トン | 約38トン |
最高速度 | 90式戦車と同等 | 70km/h | 53km/h |
主砲 | 90式戦車より高威力 | 120mm滑腔砲 | 105mmライフル砲 |
乗員 | 3 | 3 | 4 |
C4I | ○ | × | × |
コスト | 約7億円 | 8〜9億円 | 約4億円 |
現時点では得られる情報も少ないですが、ドイツのレオパルド2の ショト装甲を思わせる楔形の砲塔前面装甲は90式戦車とはまた違った魅力を感じさせます。
早く総火演での行進間射撃を見てみたいですね。