いずも型護衛艦(19,500トン型護衛艦/22DDH)
izumo class helicopter destroyer / 19,500tons class DDH / 22DDH
海上自衛隊が建造中のいずも型護衛艦は、平成26年度に退役が見込まれているヘリコプター搭載護衛艦「しらね」 を代替する護衛艦である。その計画排水量から19,500トン型護衛艦と呼称されたり、 平成22年度予算で整備されるヘリコプター搭載護衛艦(DDH)のため、22DDHとも呼ばれる。
いずも型護衛艦より先に計画された ひゅうが型護衛艦では、現有のDDHがこれまで担ってきた護衛隊群の 旗艦及び航空運用中枢艦としての役割に加え、災害派遣等の多様な事態に有効 に対処するため、作戦指揮区画や多目的区画の新設、複数ヘリコプターの同時発着艦、高度な整備が可能な整備スペース の設置など、多様な海上作戦・活動の指揮艦としての役割が果たせるよう、船体の大型化を図り、多目的性と耐洋性を確保した 新型護衛艦として整備された。
一方で周辺国の海軍力の潜水艦、水上艦艇の近代化等を踏まえ、海上交通の安全確保・周辺海域の防衛等を効果的に行うためには 、対水上監視等を行うヘリコプターを、対潜戦を行うヘリコプターとは別個に搭載し、対潜・対水上戦能力を向上させることが従来に も増して重要となっている。
また事態対処時、国際活動、災害派遣、邦人輸送等の多様な事態において洋上拠点を提供する観点から輸送機能等を整備する必要がある。
このため22DDHはひゅうが型護衛艦の発展型としてより多数のヘリコプターを運用・整備する能力に加え、車両や兵員の輸送能力、更には 貨油3,300キロリットルを搭載し他の艦艇への給油する能力までが盛り込まれている。
その一方でひゅうが型に搭載されていた射撃指揮装置・FCS−3改や、 アスロックやESSMを発射するVLS等の装備はいずも型護衛艦ではオミットされる模様であり、攻撃や防御は搭載機や随伴艦艇に依存する 空母のような性格を色濃く持った艦になるとみられる。
いずも型護衛艦は前述の「しらね」の退役に
合わせ平成26年度に、そして2番艦の24DDHが「くらま」の退役に合わせ平成28年度に運用が開始される予定だ。
1番艦の「いずも」は、平成25年8月6日にジャパンマリンユナイテッド磯子工場にて進水し、「いずも」と命名された。
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関連項目
- ひゅうが型護衛艦
- いずも型護衛艦に先立って建造されたヘリコプター搭載護衛艦です。
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Comparison with former DDHs | |||
名称 | いずも型 | しらね型 | |
基準排水量 | 19,500t | 5,200t | |
全長 | 248m | 159m | |
全幅 | 38.0m | 17.5m | |
最高速度 | 30kt | 32kt以上 | |
主機関 | ガスタービンエンジン4基2軸 COGAG型式 |
蒸気タービン2基2軸 | |
馬力 | 112,000馬力 | 70,000馬力 | |
主 要 装 備 |
情報 | 対空(三次元)レーダー 1基 水上レーダー 1基 航海レーダー1基 ソーナー装置 1式 電子戦装置 1式 情報処理装置1式 |
対空(三次元)レーダー 1基 水上レーダー 1基 航海レーダー1基 ソーナー装置 1式 電子戦装置 1式 情報処理装置1式 |
砲熕 ミサイル |
高性能20mm機関砲 2基 対空ミサイル発射機 2基 |
高性能20mm機関砲 2基 54口径5in単装速射砲 2基 短SAM装置 1式 |
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水雷 | 魚雷防御装置 1式 | アスロック装置 1式 3連装短魚雷発射管 2基 |
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航空 | 哨戒ヘリコプター 7機 輸送・救難ヘリコプター 2機 |
哨戒ヘリコプター 3機 | |
ヘリ同時発着艦 | ○(同時に5機) | × | |
輸送能力等 | 貨油3,300kl 3.5tトラック 約50台 車両用サイドランプ |
なし | |
乗員 | 約970名 | 350名 | |
同型艦 | 22DDH 24DDH |
DDH−143「しらね」 DDH−144「くらま」 |
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コスト | 約1,181億円 | ─ |
おおすみ型輸送艦ですら「空母だ」と叩かれたあの海上自衛隊が 満載2万トン超のDDHを建造しようとするなんてなんとも感慨深い ものがあります。旧海軍でいうと大体「蒼龍」 と「翔鶴」の中間あたりの規模になります。