K.G.Maniax!!
The Cutting Edge of Jazz Saxophone
PURSUANCE |
- 追求〜コルトレーンに捧ぐ - |
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渾身のコルトレーントリビュート!
今も多くのサックス奏者に影響を与え続けているジョン・コルトレーンの
曲に真正面から向き合ったアルバムです。
なんとパット・メセニーが全面参加するという豪華仕様。
ケニー・ギャレット、パット・メセニーという2人の実力派ミュージシャンの演奏がたっぷり楽しめます。
流石にコルトレーンへのトリビュートだけあって一曲たりとも気を抜けない内容になっており、
聴き応え十分、密度の濃いアルバムに仕上がっています。
01.Count Down
コルトレーンのアルバム、
「Giant Steps」からの選曲。
ドラムのブライアン・ブレイドとの白熱したデュオによる演奏です。
1曲目にこの難曲を持ってくるあたりケニーの気合の入りようが伺えます。
変則的なコード進行に沿って疾走するサックスとポリリズムも飛び出す変幻自在な
ドラムが絡み合う様が非常にスリリングです。
02.Equinox
「Coltrane's Sound」収録のミディアムテンポのマイナーブルースです。
聴き所はなんと言ってもケニーの渾身のソロでしょう。最初は抑制して、
そして徐々に盛り上がっていく展開、ペンタトニック
を基調としたブルージーなフレーズにケニー独特のアウトサイドなフレーズを
上手く織り交ぜた構成は見事としか言いようがありません。一聴するとどこか人をくったかの
ようにも聴こえるケニーのアウトフレーズですが、こういったミディアムな
曲で聴くそれには他の誰でもない彼独特の"歌"があることがよく分かります。
03.Liberia
Equinoxに続いて
「Coltrane's Sound」からの曲です。リズムがラテンから
4ビートに切り替わるときの加速感が何とも爽快です。ここでもケニーはその
独特なメロディー感覚を活かした自由奔放なサックスソロを披露しています。
実に小気味イイ!続くパット・メセニーもいわゆるメセニー節でケニーにも
引けを足らないメロディーメイカー振りを見せ付けています。
ところでパット・メセニーがブレイクでアウトフレーズを弾くとThird Windでのゲロ弾きを
連想してしまいます(笑)。
04.Dear Lord
「Transition」からの穏やかなバラードです。
ここでのケニーは原曲のメロディーを活かした
奇をてらわない演奏でコルトレーンに敬意を表しているように思えます。
テンションの高い演奏が続きますが、この曲では牧歌的でリラックスした雰囲気
に浸ることができます。
05.Lonnie's Lament
「Crescent」に収録されている物悲しくも美しいメロディーが印象的な曲です。
リズムパターンが少し変わっていて、3-3-2という変拍子になっています。
(合計すると8になるのでこれは変拍子とは言わないのかもしれませんが・・・)。
ここではケニー、パット共に、内に秘めた思いをすべて吐き出すかのような
鬼気迫る凄まじい咆哮を聴かせてくれます。突如として現れるパットの
ギターシンセがいい感じで、曲調によくマッチしています。
ギターシンセとコルトレーンのスピリチュアルな曲との親和性は意外と高そうです。
06.After the Rain
「Impressions」からの選曲です。
これはもうなにか神がかっています。宗教的な儀式を
感じさせるような厳かな雰囲気の中、メンバー4人が一体と
なって何か別の物質へと昇華して行きます。音楽という媒体
を通して神に近づこうとしたコルトレーンの残像がそこにあります。
07.Like Sonny
荘厳なAfter the Rainから一転して軽快なテンポで始まるこの曲は、
中近東あたりを髣髴させるアラビックなテーマが特徴的です。
ここではケニーのバップフレーズがたっぷり堪能できます。
いつものようなアウトサイドなプレイは多用していませんが、
こうして聴くとケニーもバップのイディオムを
きちんと消化して来たことが分かります。
「Coltrane Jazz」収録。
「Coltrane Jazz」収録。
08.Pursuance
コルトレーンの傑作、
『至上の愛』からの選曲です。至上の愛はpart1からpart4までで構成される
組曲形式になっており、Pursuanceはpart3に当たります。Pursuanceはケニー得意の高速マイナーブルース
であるため、ここではケニーの自由自在で絶好調なソロを楽しめます。次から次へとフレーズが
溢れ出してくる様は正に痛快そのもの。後に続くパットのソロも
快調です。カッコイイ!
至上の愛と言えばブランフォード・マルサリスが 自身のアルバムでpart1〜part4まで 完全再現していますが、こちらと聞き比べてみるのも面白いかと思います。
至上の愛と言えばブランフォード・マルサリスが 自身のアルバムでpart1〜part4まで 完全再現していますが、こちらと聞き比べてみるのも面白いかと思います。
09.Alabama
どこか訥々した内省的で多くを語らない感じですが、逆にその朴訥さが心に染み入る
ような演奏になっています。元はアラバマで起きた人種差別による協会爆破事件に
心を痛めたコルトレーンが書いた鎮魂歌ですので、曲に込められた意味を汲み取って
のことでしょう。
「Live at Birdland」収録。
10.Giant Steps
アルバム
「Giant Steps」に収録の表題曲です。
短三度進行を多用した変則的なコード進行を持つこの曲は、
ジャズ奏者ならば誰しも一度は挑戦(して挫折)するであろう
難易度の高い曲です。この曲ですらすらとアドリブができる
か否かで周囲の見る目も変わってくるので、取り上げる
ほうもかなり勇気の要ると思われます。そんなGiant Stepsです
が、ここでは何とも大胆なアレンジ・解釈が施されています。
大抵コードのアルペジオを捕らえる垂直方向志向の演奏がほとんど
ですが、ケニーは水平方向の流れを意識した演奏になっています。
Triology
のGiant Stepsと比べてもそれがより顕著に表れています。
ちなみにこのときの演奏にヒントを得たのかどうかは分かりませんが、
パット・メセニーも後に自身のギタートリオでGiant Stepsを
今度はスローテンポのボサノバで演奏するという面白い試みをしています。
11.Latifa
最後を飾るのはこのアルバムで唯一ケニーが書いた曲です。
ケニーのサックスとパットのギターシンセによるインタープレイ
が聴き物です。二人とも思う存分吹きまくり弾きまくり暴れまわっているのが
おもしろいです(^_^:)
Pursuanceはコルトレーンへのトリビュートアルバム ということで、レコーディングに要した集中力も相当なものだったと推測できます。 ケニーとパットのハジけっぷりを聴いていると、 Latifaはそんな大作を作り上げた後の打ち上げのようにも思えてきます(笑)。
Pursuanceはコルトレーンへのトリビュートアルバム ということで、レコーディングに要した集中力も相当なものだったと推測できます。 ケニーとパットのハジけっぷりを聴いていると、 Latifaはそんな大作を作り上げた後の打ち上げのようにも思えてきます(笑)。
12.Miles Mode(日本版のみ)
最後と思いきやもう一曲。これは日本版のみに収録
されている曲です。ギターの抜けたサックストリオ編成
による演奏がなされています。
■Songlist 01.Countdown 02.Equinox 03.Liberia 04.Dear Lord 05.Lonnie's Lament 06.After the Rain 07.Like Sonny 08.Pursuance 09.Alabama 10.Giant Steps 11.Latifa 12.Miles Mode(※日本版のみ) |
■Personel Kenny Garrett(as) Pat Metheny(gt) Rodney Whitaker(ba) Brian Blade(ds) |