K.G.Maniax!!
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- 奏法研究 - | |
ここではケニーギャレットのフレーズについてまとめてみます。
まずはなんと言ってもこれでしょう。
スケールアウトの手法はプレイヤーによっても様々です。
マイケルブレッカーのようにスケールを
分解・再構築し計算し尽くされたものもあれば、サックス奏者ではありませんがジョンスコフィールド
のような掴み所のない変態系なものもあります。
ケニーギャレットのそれは天然系とでも言うか、
頭の中に流れているフレーズがそのまま具現化されたような印象を受けます。
ですから理論的に
洗練されているとは言い難いのですがそれだけに他の誰とも違う非常に個性的なサウンドを得る
ことに成功しています。
この天然系アウトフレーズの他に、半音上のキーのペンタトニックスケール を使ったフレーズも割とよく用いています。この手法はケニーギャレットに限らずあらゆる奏者 が使用している比較的オーソドックスなスケールアウトの手法です。ケニーギャレット っぽく吹いてみようと思うならとりあえずこの手を使えば 手軽にそれっぽいサウンドを得ることができるのででおすすめです。
いわゆるオルタネートフィンガリングを用いて2種類の音を交互に出すのが
オーバートーンを用いた代表的な手法です。
この手のフレーズはジョンコルトレーン
やマイケルブレッカーの演奏でよく耳にすることが出来ますがケニーギャレットも最近の
アルバムで何度か用いています。
どちらかというとテナー奏者の方がこのフレーズを
用いる頻度が高いようなので、ケニー・ギャレットのアルトサックスによるオーバートーン
フレーズはかなり新鮮に聞こえます。
ようするにソロの途中に他の曲のフレーズを引用したりするようなネタ的なフレーズのことです。
ケニーギャレットはこの手のネタが大好きなようであらゆる曲で聴くことができるので、
注意して探してみるのも面白いと思います。
しかし中にはバラードの途中で唐突に妙なアラビア音階を吹き始めたり、思わず苦笑してしまう
ようなものも多々あります^^;
ファンキーさもケニー・ギャレットを語るうえで外せない要素です。
「Songbook」でのBrother Hubbard、House That Nat Builtや
「Casino Lights '99 」でのWayne'Thangなどよい例ですが、
「Songbook」のライナーノーツに書いてあるように、とにかく
「ノリノリで最高!」なのです^_^
聴いているうちに思わずリズムを
取りたくなること請け合いです!
ジャズサックス奏者、それもアルトの場合はチャーリー・パーカーの影響を受けていない
プレイヤーを探す方が難しいのですが、ケニー・ギャレットも例に漏れずその根底にはパーカーの
バップ・イディオムがあります。
それはいわゆる2−5フレーズを随所で吹いていることからわかりますが、
ケニー・ギャレットの場合さらにコルトレーンの影響も聴いてとれると思います。アルト、テナー
という楽器の違いはあれども、例えば「PURSUANCE」
やライブで聴けるようなパッショネイトな演奏は
まさにコルトレーンそのものです。
フレーズどうこうというよりも、コルトレーンの精神性を継承している
のではないでしょうか。
ケニー・ギャレットのライブ映像を見たことがある人なら分かるでしょうが、まぁとにかくものすごい勢いで
吹きまくる姿に圧倒されると思います。
以前NHKの衛星放送でSweetBasilでのライブ模様を放送していま
したが、高速4ビートの曲でソロを10分以上吹き倒した後さらにドラムとの掛け合いに突入するなど
よく体力が持つなぁ、と呆れるくらい激しい演奏を披露していました。
出てくる音に加え、頭を上下に激しく振りながらサックスを吹く姿にも鬼気迫るものがあります。
たしかにバラードでも
なかなか聴かせる演奏をするケニー・ギャレットではありますが、やはり火の出るようなファナティックで
激しい演奏が彼の真骨頂と言えると思います。